① 植物病原微生物の感染機構の解明と利用技術の開発

① 植物病原微生物の感染機構の解明と利用技術の開発

課題番号2013023133
研究機関名農業生物資源研究所
研究期間2011-2015
年度2013
研究問題2.農業生物に飛躍的な機能向上をもたらすための生命現象の解明と利用技術の開発
大課題(2)農作物や家畜等の生物機能の高度発揮に向けた生物間相互作用の解明と利用技術の開発
中課題① 植物病原微生物の感染機構の解明と利用技術の開発
大項目第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
中項目1.試験及び研究並びに調査
摘要1. タバコモザイクウイルス(TMV)に対して過敏感反応を発動して抵抗性を示すタバコでは、感染に伴ってストレスホルモンであるサ リチル酸(SA)とジャスモン酸(JA)が蓄積する。TMV抵抗性においてSAは正の制御因子として機能することが知られている。一方、JAの 役割は解明されていなかった。TMV抵抗性におけるJAの役割を明らかにすることを目的として、JAシグナル伝達因子COI1あるいは生合成因 子AOSの発現を抑制した形質転換タバコを作出した。これらの抑制体ではともに非抑制体に比べてSA含量の増加とTMV抵抗性の増強がみられた。これらの結果から、JAはSA蓄積の抑制を通じてTMV抵抗性を負に制御することが示唆された。
2. バイオコントロール細菌Pseudomonas fluorescens CHA0株は、二成分制御系GacS/GacAを介したシグナル伝達系の制御のもと、植物保護能力に関わる抗菌性二次代謝産物を産生する。本菌の植物保護能力の向上を目指して本シグナル伝達系の制御因子を解析し、ATP依存型 プロテアーゼであるLonが、GacAタンパク質の安定性に負に関与することを明らかにした。野生型株では貧栄養条件下でGacAタンパク質が 不安定化するが、Lon欠損変異株(Δlon)では長時間にわたり安定して発現したことから、細菌が自身の周辺の環境の変化に応じシグナル伝達系をオフにする上でLonが重要な役割を果たすことが示唆された。さらに、枯草菌や植物病原糸状菌であるFusarium oxysporumに対す る抗菌性が、野生株と比較しΔlonでは亢進していることが明らかとなった。
3. トマトモザイクウイルス (ToMV) 抵抗性遺伝子Tm-1がコードするタンパク質は、ToMVの複製酵素に結合して複製を阻害する。Tm-1に よるToMV RNA複製阻害機構の詳細な解明は、抵抗性打破ウイルスの出現機構を知るためにも重要である。そこで、試験管内ToMV RNA 翻訳 ・複製系を用いて、Tm-1が存在するときにToMVの複製がどのような状態で停止するかを解析した。複製不能な変異をもつToMV誘導体等を用いた結果と合わせて、ToMVの複製酵素は合成されたあと、(鄯)宿主の生体膜と結合し、次いで(鄱)膜及び膜タンパク質と安定な複合体を形成するとともにウイルスRNAを細胞質から隔離し、その後(鄴)相補鎖RNAを合成すること、Tm-1は(鄱)の段階を阻害することを明らかにした。
4. RNAサイレンシングは、植物における主要な抗ウイルス機構のひとつであり、その作動原理の解明は、ウイルス病による被害の低減を目指す上で重要である。RNAサイレンシングにおいては、主に21あるいは22塩基の小分子RNAを含むRISCと呼ばれる複合体が、標的RNAの切 断等にかかわる。効率的なウイルス防御には、小分子RNAの増幅が必要であり、SGS3タンパク質の関与が示唆されていた。本年度は、SGS3 の詳細な動態解析から、SGS3がRISC及び標的RNAと複合体を形成して、標的RNAの切断後に増幅経路へ誘導する仕組み、さらに22塩基の小分子RNAのみが増幅を引き起こす仕組みの一端を明らかにした。
研究分担石川 雅之
光原 一朗
落合 弘和
瀬尾 茂美
西村 麻里江
吉川 学
秋本 千春
竹内 香純
石橋 和大
協力分担関係筑波大学
ローザンヌ大学(スイス)
予算区分技会交付金研究 イノベーション創出事業 委託プロ[次世代ゲノム基盤プロ] 文科省[科研費] 文科省・JST競争的資金
業績(1)The resistance protein Tm-1 inhibits formation of a Tomato mosaic virus replication protein-host membrane protein complex
(2)The splice variant Ntr encoded by the tobacco resistance gene N has a role for negative regulation of antiviral defense responses
(3)Graft transmission of RNA silencing to non-transgenic scions for conferring virus resistance in tobacco
(4)Crystallization and preliminary X-ray crystallographic analysis of the inhibitory domain of the tomato mosaic virus resistance protein Tm-1
(5)Large-scale production of tobacco mosaic virus coat protein in E.coli and analysis of its self-association
(6)Functional characterization of the mutations in Pepper mild mottle virus overcoming tomato tm-1-mediated resistance
(7)Differences in the susceptibility of five herbivore species and developmental stages to tomato resistance induced by methyl jasmonate treatment
(8)Transcriptome analysis of WIPK/SIPK-suppressed plants reveals induction by wounding of disease resistance-related genes prior to the accumulation of salicylic acid
(9)Disarming the jasmonate-dependent plant defense makes nonhost Arabidopsis plants accessible to the American serpentine leafminer, Liriomyza trifolii
(10)Lon protease negatively affects GacA protein stability and expression of the Gac/Rsm signal transduction pathway in Pseudomonas protegens
(11)Jasmonic acid negatively regulates resistance to Tobacco mosaic virus in tobacco
(12)StoS, a hybrid histidine kinase sensor of Xanthomonas oryzae pv. oryzae, is activated by sensing low O2 concentration and is involved in stress tolerance and virulence
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030203660
収録データベース研究課題データベース

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