④ 家畜の行動・繁殖の制御機構の解明

④ 家畜の行動・繁殖の制御機構の解明

課題番号2014025639
研究機関名農業生物資源研究所
研究期間2011-2015
年度2014
研究問題2.農業生物に飛躍的な機能向上をもたらすための生命現象の解明と利用技術の開発
大課題(1)農作物や家畜等の生産性向上に資する生物機能の解明
中課題④ 家畜の行動・繁殖の制御機構の解明
大項目第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
中項目1.試験及び研究並びに調査
摘要前年度特許出願した子ウシの疑似グルーミング装置の利用については、擦(こす)る体の部位に偏りがあり、腹部に比べ、頭部や頸部を多く擦ることが明らかとなった。黒毛和種では、2か月齢で1日あたりの装置利用時間が長い個体ほどセルフグルーミングの回数が多く、個体ごとに体幹刺激への欲求が異なることも明らかとなった。
2.体温調節に重要な役割を担っているセロトニン神経系の機能強化を目的とし、セロトニンの前駆物質であるトリプトファンを強化した飼料をウシに給餌したところ、昇温による体温上昇が緩和される傾向があることがわかり、暑熱下におけるウシの管理技術としてトリプトファン強化飼料給餌が有用な方法となり得る可能性が示された。
3.ヤギにおいて、正中を挟んで左右両側に存在するKNDy(キャンディー)神経細胞の片側にニューロキニンを微量投与して神経活動に及ぼす影響を電気生理学的に解析したところ、左右のKNDy神経細胞で同時に性腺刺激ホルモンを分泌させる指令が誘起されることが明らかとなった。この結果から、左右のKNDy神経細胞は神経線維によって連絡し、同調した活動を行うことにより繁殖調節中枢としての機能を発揮していることが示された。
4.昨年度開発した繁殖中枢刺激作用を持つ43種の新規ニューロキニン作動薬について、ヤギのKNDy神経細胞の活動を指標とした生体活性評価を行い、既存のニューロキニン作動薬を凌ぐ生体活性を持つ3種の作動薬を同定した。これらは、家畜の卵胞発育制御剤の有力な候補物質である。また、ニューロキニン作動薬は、皮下や筋肉内投与でも静脈内投与と同等の繁殖中枢刺激作用を持つことを明らかにし、容易に家畜に投与できる可能性を示した。
5.ウシ黄体組織における遺伝子発現をマイクロアレイにより網羅的に解析し、発生調節に関わる二つのホメオボックス遺伝子の発現が、妊娠15日目に変化することを見いだした。これは、受胎の指標とされているI型インターフェロン応答性遺伝子発現の変化が観察される時期よりも早期であり、これらのホメオボックス遺伝子がウシの超早期妊娠診断の指標となる可能性が示された。子宮内で産生された胚性シグナルは、子宮静脈-卵巣動脈間の対向流により卵巣の黄体に伝達されるものと推定される。
6.全国的に受胎性が低下する暑熱期に採取したウシ子宮内膜では、Placenta specific gene 8及びNeurotensinの遺伝子発現が高いことを示した。さらに、これらの血中タンパク質濃度も暑熱期に高くなることが明らかとなり、これらを指標として暑熱期のウシの受胎性診断に活用できる可能性を示した。
7.未経産牛20頭について、人工授精時から分娩まで経時的に血中アドレノメデュリン濃度を測定し、妊娠2~3か月及び9か月では血中濃度が増加することを示した。アドレノメデュリンは胎盤機能調節因子として重要な役割を担っており、その血中濃度を指標として胎盤機能や妊娠の進行状況を推測できる可能性が示唆された。
研究分担岡村 裕昭
矢用 健一
粕谷 悦子
作本 亮介
若林 嘉浩
林 憲悟
山村 崇
予算区分技会交付金研究 SIP(次世代農林水産業) 委託プロ・生産現場[低コスト] 委託プロ・生産現場[生産環境] 文科省[科研費] その他
業績(1)Auto-amplification system for prostaglandin F2α in bovine corpus luteum
(2)暑熱環境下におけるセロトニン神経系の役割
(3)Development of novel neurokinin 3 receptor (NK3R) selective agonists with resistance to proteolytic degradation
(4)Effects of exposure to male goat hair extracts on luteinizing hormone secretion and neuronal activation in seasonally anestrous ewes
(5)Sericin accelerates the production of hyaluronan and decreases the incidence of polyspermy fertilization in bovine oocytes during in vitro maturation
(6)The luteinising hormone surge-generating system is functional in male goats as in females: Involvement of kisspeptin neurones in the medial preoptic area
(7)Gene expression profiles in the bovine corpus luteum (CL) during the estrous cycle and pregnancy: possible roles of chemokines in regulating CL function during pregnancy
(8)ウシにおける覚醒・睡眠レベルと自律神経緊張度との関連
(9)The effects of chronic subcutaneous administration of an investigational kisspeptin analog, TAK-683, on gonadotropin-releasing hormone pulse generator activity in goats
(10)Relationships between postnatal plasma oxytocin concentrations and social behaviors in cattle
(11)夏期放牧における褐毛和種熊本系と黒毛和種繁殖牛の個体維持行動の比較
(12)Structure-activity relationship study on senktide for development of novel potent neurokinin-3 receptor selective agonists
(13)Expression profiles of perforin, granzyme B and granulysin genes during the estrous cycle and gestation in the bovine endometrium
(14)Effects of intravenous administration of neurokinin receptor subtype-selective agonists on gonadotropin-releasing hormone pulse generator activity and luteinizing hormone secretion in goats
(15)血液細胞に発現する特異分子を指標とした動物の超早期妊娠診断法
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030217198
収録データベース研究課題データベース

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