生物機能等を活用した病害防除技術の開発とその体系化

生物機能等を活用した病害防除技術の開発とその体系化

課題番号2015027823
研究機関名農業・食品産業技術総合研究機構
研究期間2011-2015
年度2015
研究問題②生物機能等の農薬代替技術を組み込んだ環境保全型病害虫・雑草防除技術の開発と体系化
大課題生物機能等を活用した病害防除技術の開発とその体系化
中課題生物機能等を活用した病害防除技術の開発とその体系化
大項目食料安定供給のための研究開発
中項目(5) 地域特性に応じた環境保全型農業生産システムの確立
摘要病原体汚染程度を判定するシステム開発に関しては、

a) 開発した汚染程度評価法を用いて国内各地より収集したジャガイモモップトップウイルス陽性土壌試料39点の発病リスクを検定し たところ、土壌のウイルス汚染程度に比例して高リスクが7点、低リスクが7点、極低リスクが25点に分けられた。これにより、本評価法の有効性が確認された。

b) 土壌中のコムギ縞萎縮ウdイルス濃度を測定するための検出法として、砂耕栽培のコムギを指標植物として用い、イムノキャプチャー(IC)-RT-PCR法でコムギ縞萎縮ウイルスを検出する方法を確立するとともに、ウイルスの病原性示すゲノム配列の存在を明らかに した。抵抗性誘導剤と拮抗微生物を併用することで、媒介微生物の感染抑制効果も確認した。

c) 開発した植物ウイルス媒介菌オルピディウムの汚染程度判定法を用いて、現地圃場で主要3種オルピディウム菌の定量を行ったところ、オルピディウム菌量と媒介されるウイルス病発病程度には相関は認められず、病原ウイルスと媒介菌の量的関係も把握する必要があることが分かった。

病原体による被害リスク評価法の開発に関しては、

d) 植物体上での反応と整合性があるチャ輪斑病菌のストロビルリン系殺菌剤(QoI剤)耐性識別法(煮沸チャ葉法)を確立した。それを高精度化するためにステロール脱メチル化阻害剤(DMI剤)の一種であるフェンブコナゾールを用いると、チャ輪斑病菌の生育に影 響を及ぼすことなく雑菌が抑制され、QoI剤耐性菌の検出効率が上がることを認めた。

e) 葉かび病菌のDMI剤耐性を識別するPDA培地検定法の識別結果は、ベンゾイミダゾール系、トリホリンを除くDMI剤に対して植物体上での反応と一致することを確認した。また、葉かび病菌の簡易レース評価法を開発するために必要な全ての非病原性遺伝子配列を明らかにした。

農薬代替技術の開発に関しては、

a) 開発したタバコマイルドグリーンモザイクウイルス弱毒候補株1、3及び4を接種した伏見甘長とうがらしを汚染圃場に定植して慣行栽培に従って栽培したところ、弱毒株3及び4は無病徴であった。ホオズキでは弱毒株1及び4が無病徴で生育阻害もなかったことから、弱毒株4がワクチンとして最も有望と判断した。

b) ジャガイモシストセンチュウのふ化促進物質製剤として合成した世界初のソラノエクレピンAは、現地圃場への散布により処理後2 か月で被害許容水準以下までジャガイモシストセンチュウ密度を低減させることを確認した。また、ジャガイモシストセンチュウ密度を低減させるナス科対抗植物を利用した耕種的防除法を開発した。

c) 簡易線虫モニタリング手法として、線虫群集中に存在するネグサレセンチュウ類とネコブセンチュウ類を識別する検定法を開発し た。また、低密度でもジャガイモシストセンチュウを検出できる手法、土壌中の密度や抵抗性打破を判定できるダイズシストセンチュウ検定法も開発した。

生物媒介性病害対策に関しては、

a) 虫媒性欠損トマト黄化えそウイルス株を接種した植物は、ミカンキイロアザミウマを誘引し、健全植物へのウイルス伝染速度を遅 らせることを明らかにした。生物間相互作用を担う因子として、植物ホルモンのサリチル酸やトマト揮発成分のカリオフィレンを確認した。

b) 果樹病害を制御する生物防除法については、野外試験において、マイコウイルスを保有する和合性菌を処理することにより白紋羽 病の発病が抑制されることを検証した。同様に、マイコウイルス保有菌の接種によるリンゴ腐らん病の病斑伸展抑制効果を検証した。

臭化メチル代替技術の開発に関しては、

a) 当初計画をさらに進め、トマトのみならずピーマン及びナスでも高接ぎ木等の新規接ぎ木栽培法を確立し、その技術に土壌還元消毒等を組み合わせたナス科の青枯病防除技術を確立した。これにより、これまでに開発した土壌からの青枯病菌の高感度検出定量手法とともに、高接ぎ木法によるトマト等の青枯病防除技術の全国的な普及(トマトで約3,500ha)に大きく貢献した。

b) 有機質肥料活用型養液栽培プロトタイプマニュアルに従うと、栽培期間中に培養液のpHが上昇する。カルシウム集積が原因と判明し、発酵石灰液の施肥量を低減することでpH上昇を抑えることができた。新マニュアルには高pH対策として発酵石灰液の施肥量低減・休止を付記した。

c) 野外において、作製後1年以内の微生物資材を用いて罹病樹の地際部に施用した上で温水点滴処理を行うことにより、これら の併用効果が得られる新たな白紋羽病防除体系を提示した。

d) トマト黄化えそウイルス抵抗性ピーマン品種にトウガラシマイルドモットルウイルス弱毒株(L3-163株)由来の植物ウイルスワクチン製剤を接種することによるマルチ防除技術の有効性を実証した。さらにそれに青枯病抵抗性台木を組み合わせた土壌病害総合防除体系を構築した。
協力分担関係理研
神戸大
岡山大
豊田合成
ワーゲニンゲン大
岐阜県西濃農林事務所
北海道大
雪印種苗(株)
各県公設農業研究所
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030226633
収録データベース研究課題データベース

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