④ 植物の耐虫性と害虫の加害性の分子機構の解明

④ 植物の耐虫性と害虫の加害性の分子機構の解明

課題番号2015027903
研究機関名農業生物資源研究所
研究期間2011-2015
年度2015
研究問題2.農業生物に飛躍的な機能向上をもたらすための生命現象の解明と利用技術の開発
大課題(2)農作物や家畜等の生物機能の高度発揮に向けた生物間相互作用の解明と利用技術の開発
中課題④ 植物の耐虫性と害虫の加害性の分子機構の解明
大項目第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
中項目1.試験及び研究並びに調査
摘要1.トビイロウンカやツマグロヨコバイとイネとの間の加害・耐虫機構の解明では、吸汁に関する遺伝子は一生にわたっ て個体で発現・作用していると考えられ、parental RNAiにより孵化時から発現低下していれば、影響が表現型として見えやすくなる と期待できる。そこで、ツマグロヨコバイの唾腺RNA-seq解析により唾腺特異的あるいは唾腺で発現量の高い遺伝子29種を単独、また は複数組み合わせて、27通りのparental RNAiを行った。これらのうち、当代の産卵数が少なく、孵化した1齢幼虫の死亡率も高いといった現象や、産卵された卵が全く孵化せず、胚致死したと思われる現象が見られた。これらは有望な制虫因子の可能性があり、さらに解析を進める。
2.シュウ酸カルシウム針状結晶による耐虫物質の相乗的増強効果の解明では、植物から精製した針状結晶と市販の酵素試薬を用いてきた。今年度は、シュウ酸カルシウムを持つ植物のその他の成分が針状結晶との共存で耐虫効果を発揮するのかどうかについて検討した。ヤマノイモ、ヤブガラシ、ノブドウ、エビヅルの葉から針状結晶を除去した抽出液を単独、あるいはキウイフルーツから調整した針状結晶とともにヒマの葉に塗布し、エリサン孵化幼虫に与えた。1日後の体重増加には、それぞれの抽出液とシュウ酸カルシウムの 針状結晶の間に顕著な相乗的成長阻害作用が認められた。この結果は、シュウ酸カルシウム針状結晶を含む植物に、針状結晶と共存することで効果が発揮される耐虫性物質が存在していることを示している。
3.ダイズが持つハスモンヨトウ抵抗性遺伝子の抵抗性付与機構解明のために、ハスモンヨトウ雌成虫の産卵選好性の比較を行った。ハスモンヨトウ抵抗性のヒメシラズと感受性の実用品種フクユタカの葉に対する産卵では明らかな選好性の違いが見られた。
4.植物の耐虫性機構が害虫の自然界や圃場における多発をどのように抑制しうるかなど、昆虫の発生量を決定する仕組みも含め、植物、食植者、肉食者間の新しい食物連鎖網の数理モデルを作出し、それによる予測値と文献などからの実測値を比較した。その結果、本モデルは森林やサバンナ生態系における植食動物と肉食動物バイオマスをほぼ正確に予測することができた。タンニンやプロテアーゼインヒビターなどによる植物の質的・量的防御の利用法、施肥による害虫の多発、複数の天敵を利用する際の問題点の明確化、炭酸ガス濃度上昇と害虫被害の影響予測などの農業上の問題解決に多くの示唆を与えるものと考える。
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030226721
収録データベース研究課題データベース

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