3 開発途上地域の地域資源等の活用と高付加価値化技術の開発

3 開発途上地域の地域資源等の活用と高付加価値化技術の開発

課題番号2017030013
研究機関名国際農林水産業研究センター
研究期間2016-2020
年度2017
研究問題研究の重点化及び推進方向
大課題3 開発途上地域の地域資源等の活用と高付加価値化技術の開発
中課題3 開発途上地域の地域資源等の活用と高付加価値化技術の開発
大項目第1 研究開発の成果最大化そ他業務質向上に関する事項
中項目試験及び研究並びに調査に係る研究の推進方向
摘要高付加価値化のポテンシャルや技術の改善余地等の観点から、「穀類とその加工食品」、「発酵食品」を主な研究対象としている。前者についてはタイで広く普及している発酵米麺カノムチンが製麺後に急激に溶解する問題に対し、原因となる複数のアミラーゼ産生菌を同定するとともに、酸性緩衝液処理によって麺のpHを調製することで微生物の増殖を抑え、溶解を防止できることを見出した。後者については淡水魚発酵調味料パデークの試作を重ね、発酵初期の活発な乳酸発酵によるpHの低下やその後のグルタミン酸の増加など、発酵に伴う消長を解明したほか、消費者や仲買・小売業者への聞き取り調査を行い、各種パデークに関する嗜好性や利潤等を示した。さらに、微酸性電解水を用いることでブロッコリースプラウト中に存在し抗酸化作用等を有する機能性物質スルフォラファン含量を高めるとともに、スプラウトに付着するバクテリア数を低減することに成功した。本成果は比較的簡便な処理で効果が得られるうえに同様のスルフォラファン合成経路を持つアブラナ科野菜への応用が期待できるなど、実用性が高い技術として、平成29年度研究成果情報に選定されている。また、グローバル・フードバリューチェーン(GFVC)戦略に貢献するため、インディカ米の精米の現状等に関する知見を活用した我が国民間企業との共同研究や、中国における穀類の生産・消費動向に関する調査を進めた。
未利用バイオマスを活用した糖質生産技術の開発については、石垣島の堆肥から見出したリグノセルロース分解微生物集団の中から、糖化能力に優れた好熱嫌気性セルロース分解菌(Herbivorax saccincola)の純粋分離に成功し、世界で初めてゲノム構造を明らかにした。本菌は従来菌に比べてキシラン分解物の資化性が高く、オイルパーム空果房などキシランを多く含むバイオマス分解の最適化に貢献することから、学術的な価値だけで無く、バイオマスの実利用上も広く活用が期待できる成果である。また、パーム樹液等に含まれる糖を用いた生合成によってPHBを菌体中に大量に蓄積する微生物を単離し、PHBによるトウモロコシの生育促進効果を確認した他、パーム廃棄幹の糖蓄積に関与する代謝系遺伝子群候補を特定するなど、実利用を進める上での基盤的な成果を得た。さらに、オイルパーム樹液を弱アルカリ性に調整することで不溶性沈殿の除去と微生物生育阻害をもたらす芳香族化合物の生成抑制が図られ、乳酸の発酵阻害が防止できることを見出した。凝集剤や活性炭を用いる方法に比べて簡便でコストも低いことから、有用性の高い技術として、平成29年度研究成果情報に選定されている。
ラオス南部の低地水田域において、流入水による養分供給能の推定や昆虫幼虫の餌料価値評価等を進めるとともに、水環境や土壌環境と水稲収量の関連について解析し、生産が不安定化しやすい天水田を畑利用した場合のインディカ品種陸稲の優位性を確認した。また、中部農山村において植生調査に基づく類型区分を行い、各類型における木本系NTFPと指標種を明らかにした。さらに、ラオス中部及び北部の農山村における動物性食料の消費動向や魚介類の栄養成分の年間変動を明らかにするとともに、伝統的な淡水魚発酵調味料であるパデークについて、塩分を調整することで保存性を高め、アレルギー様症状の原因物質であるヒスタミン産生を抑制しうることを示した。
東南アジア地域森林資源の高付加価値化技術の開発にあたっては、チーク人工林について、10年生時の最適間伐率は40~60%程度であることや、ドローンによる林分材積の推定は地上調査と高い相関を示すことなどを明らかにした。また、遺伝子サンプルを採取し、遺伝マーカーの開発に着手した。さらに、ラオスの現地調査結果から、土壌の比較的浅い深度における交換性カルシウム含量がチークの成長に影響を及ぼす傾向を把握した。フタバガキについては、肥大成長と伸長成長に関する観測を開始するとともに成長に関与する可能性を有する遺伝子を見出した。また、9~11週間にわたる乾燥と低温によって開花遺伝子が発現し1ヶ月後に一斉開花に至るメカニズムを解明し、降水量と気温から一斉開花を予測するモデルを開発した。これにより、一斉開花の時期や発生地域が予測でき、苗木の安定供給や気候変動対応への貢献が期待できる。本成果は平成29年7月に九州大学と共同でプレスリリースを行い、日経電子版等に掲載されるなど、広く注目された。
水産資源の持続的利用技術の開発においては、タイにおけるウシエビ混合養殖技術やフィリピンにおけるミルクフィッシュ、海藻、ナマコの多栄養段階複合養殖の実証試験、マレーシアのハイガイ養殖場やミャンマーのカキ養殖候補地の環境把握、高騰する魚粉飼料を削減するための代替飼料の開発等を進めた。ミャンマーでは、カキ漁場周辺水域の水温やクロロフィル濃度等の月別測定データやカキ幼生の分布水深調査結果に基づき、生物・環境マップを作成した。また、タイの養殖業者とともに実際の養殖池で行っているウシエビ混合養殖技術の実証試験では、ジュズモの生育やウシエビの生残率に関する課題が抽出され、ジュズモの養生区画の設置や投餌手法の改良により、エビの生残率が大きく向上するとともに、1m2あたり100バーツを超える売り上げを示した。本技術については周辺の養殖業者からも高い関心が寄せられているほか、タイ科学技術万博(平成29年8月、バンコク)においてタイ国科学技術大臣の注目するところとなり、JIRCASのブースにおいて科学技術大臣自ら副首相に説明するなど、行政的にも期待される成果となっている。
協力分担関係千葉大学
秋田県総合食品研究センター
兵庫県立大学
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
株式会社ペプチド研究所
京都工芸繊維大学
国立研究開発法人産業技術総合研究所
筑波大学
国立研究開発法人森林研究・整備機構
森林総合研究所
国立研究開発法人水産研究・教育機構
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030244464
収録データベース研究課題データベース

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