ゲノム選抜育種による出穂期改良品種開発の加速

ゲノム選抜育種による出穂期改良品種開発の加速

県名宮城県
研究機関名宮城県古川農業試験場
課題種別試験研究課題
研究期間完H25~29
年度2017
概要目的:宮城県においては,県内の水稲作付け面積の約8割を中生品種の「ひとめぼれ」が占めているが,近年,気候変動による高温の影響で白未熟粒の発生が増加し,玄米品質の低下が大きな問題となっている。特に県南部では品質低下が顕著であり,登熟期間の高温を避け玄米品質の向上を図るため,晩生の高温登熟耐性に優れる品種が要望されている。
 今回,当場育成の中生で高温登熟耐性に優れた極良食味系統「東北206号」に, DNAマーカー選抜 育種技術を用いて,宮城県で晩生にあたる「コシヒカリ」の出穂関連遺伝子(Hd1,Hd16,HD18)を導入することで,「東北206号」の出穂期を7~10日程度遅らせた晩生の高温登熟耐性に優れる品種を育成する。
成果:1)出穂期遺伝子の絞り込みを行う実験集団および育成集団の作出
 2013年に高温登熟耐性に優れる「東北206号」と晩生の「コシヒカリ」の交配およびそのF1と「東北206号」との戻し交配を行った。得られたBC1F1について世代を進め,出穂期遺伝子の絞り込みを行うための実験集団(BC1F3世代)を作出した。一方で,BC1F1世代についてMASを行って得られた選抜個体と「東北206号」の戻し交配を行い,BC2F2世代を得た。BC2F2世代以降は,MASや出穂期調査によって目的の系統を選抜するための育成集団(BC2F4世代,BC2F5世代)を作出した。
2)出穂期遺伝子の絞り込み
 BC1F3世代の出穂期を調査した結果,Hd1とHd16がコシヒカリ型系統は8月14日,Hd1とHd18がコシヒカリ型系統は8月23日,Hd1,Hd16,Hd18の全てがコシヒカリ型系統は8月9日に出穂した。東北206号の出穂期は8月1日,コシヒカリの出穂期は8月9日であったため,東北206号を7から10日程度晩生化するには,Hd1,Hd16,Hd18の全てをコシヒカリ型で導入するのが望ましいと推定された。
3)同質性評価
 BC2F4世代で,Hd1,Hd16,Hd18をコシヒカリ型で保有する4系統(東1671,東1672,東1673,東1674;東北229号)を生産力検定,特性検定に供試した。「東1674」は「東北206号」対比で出  穂期は9日遅く,稈長は約7cm長く,玄米重は99%,高温登熟耐性は「東北206号」と同じ“やや強”であった。「東1672」は「東北206号」対比で出穂期は7日遅く,稈長は約12cm長く,玄米重は93%,高温登熟耐性は“やや強”であった。4系統のうち「東1672」と「東1674」を選抜し,農業特性が優れる「東1674」に「東北229号」を付与した。BC2F5世代では選抜2系統(東北229号,東1672)の生産力検定,特性検定を行った(表4,5)。「東北229号」は「東北206号」対比で,出穂期は10日遅く,稈長は約5㎝長く,玄米重は99%で,高温登熟耐性は「東北206号」と同じ“強”であった。「東1672」は「東北206号」対比で,出穂期は8日遅く,稈長は約10㎝長く,玄米重は91%で,高温登熟耐性は“強”であった。これらの結果,2カ年で各種特性評価は大きく変わらなかった。
 最終的に2系統のうち「東北229号」が,短稈で収量が多く,「東北206号」の準同質遺伝子系統として優れることを確認した。
研究分担作物育種部
予算区分受託
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030245873
収録データベース研究課題データベース

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